にとりメタモルフォーゼのウラバナシ2

書きたい気持ちを抑えられず2となりました。

タイトル

「いがいと」より前に作った本は表紙絵やタイトルが抽象的というか情報がないというか、手に取ろうと思ってもらえないものになっちゃってて、この辺りのチョイスには慎重だったりします。実際「いがいと」の時は納得いく程度にうまくいきまして、やっぱ大事だなぁと。タイトル効果じゃないかもだけど。

てことで最初は「あなたのせいだから、なんてね」なんて仮タイトルだったんですが、パスピエの歌詞のひとつなんですが、誰が何をするのか分からないのはよくないなと思って早々に「にとりメタモルフィス」になりました。おしゃれなタイトルは売れっ子になって作者買いしてもらえるようになったらにするわ。

ちなみにまだ微妙にタイトル違いますが、最初「そもそもメタモルフォーゼであってるのか??」と思って調べたらドイツ語で、英語的にはメタモルフィスだったからなんですが、正しくても馴染みがないとわからないかなと思ってメタモルフォーゼに直したのでした。まだ頒布できるか自信がなかった頃のTwitterの宣伝では「にとりメタモルフィス」になってたりします。こんなギリギリにタイトル替えたのか…。

背景

今回の話は人里と妖怪の山の境目にかかってる吊り橋が一つの舞台になってました。そこでの出来事が多かったので背景決定もちょっと細かめに作ってたりします。

例の橋。境橋って名前つけたの自分で忘れてた。

人里と妖怪のエリアを分けてる川で、境目としての機能が壊れてしまうといけないので、石積みの護岸が作られてます。妖怪の山側は元々の雑木林が生い茂り、人里側は雰囲気重視で柳の木が植えられました。橋の建造は、人の行き来はないはずだけど、万が一迷い込んできた人間を帰すための道、かつ逆に怖いもの知らずの人間を誘い込むために、妖怪が作った吊り橋という設定。橋をかけたのは河童で、石造りの立派な橋をかけるような組織力がないってのもあるけど、山側と行き来がしやすくなって人間が山側に定住するのも本意じゃないんで、簡易な吊り橋がかかってます。河川内の支柱が最小限なので豪雨で流される心配も少ない、みたいな。

そうなんです。こういう場所一つとっても、このレベルの必然性がほしいと思ってしまう。時々人物よりも背景描く方が好きなんじゃないかと思うことも。まぁでも背景はあんまりうまく描けたって思うことがないんで、描き始めたら人物描く方が好きです。

そういえば〇さわに「背景トレスでしょ」って言われました。完全に手描きだったんで嬉しかったです。今の日本に大きい石がこんなに少なく(=下流)護岸が低い(=都市化されていない)場所はない気がしててリアリティ出てるか少し不安だったんで、写真感が少しでも出てたならよかったです。

あと、劇中に何度か出てくるにとりの家も設定があります。

下の説明と手書き文字が違うのはご愛嬌ということで


こちらも色々語りたくてですね。あんまりアングルにこだわれなくて正面からしか描けなかったんでただのへたっぴな家にしか見えないんですが。
最初はただの廃墟の平家に住み着いただけだったんですね。その時の面影は左側に残しました。それからガレージが欲しくなり右側に天井の高いシャッターのガレージを増設。クレーンを付けたり、狭いながらもまあまあ本格的なガレージです。家にくっつけて作ってます。失敗作や拾ってきた鉄クズをガレージの中とか家の前に置いてたらスペースがなくなってしまったので、ガレージ2階の高さに合わせた物置を増築。今の形になりました。
ほんとは増築なんかしないで面積を広げるんだろうけど、あんまり無限に展開するのも違うかなーと。狭い所に住むのが好きそうだなーとか、あまり展開すると研究所感がでちゃうかなーとか。
ちなみによんちの過去作「ハロハロウィンウィン」で2人ががっかりするちゃぶ台、「いがいと」で椛が回覧板持ってくる玄関は踏襲しました。一応ね!

シール

にとりが拾ってきたシールを作る機械ですが、ダイモといいます。検索すると画像が色々出てくると思いますが、見たことありません? うちの職場だと更衣室のオンボロロッカーに備品管理番号みたいなのが貼ってありました。テプラが出る前はみんなこれだったんですかね。歴史のことはわかんないですが。

ほんとは本と一緒になんかしようと思ってダイモ一式を買ってたんですが、何しようか思いつかなかったのと、持ってき忘れたんで日の目を見ず。部屋の棚に分類ラベルを貼るという本来の使われ方をしてます。

田丸みの

にとりがテープで化けたのが田丸みのです。ほんとの最初は映画「カッパのクゥと夏休み」からクゥって名前にしてたんですが、なんとなく馴染まないような気がして今の名前に変えました。実は初版でクゥのままになってる誤植がありました。新装版では多分全部直ってるはず。
ちなみに田丸みのの名前の由来ですが、にとりオンリーが2回開催された福岡県のかっぱ伝説の地である田主丸と、近くのにある未納連山(みのうれんざん)から拝借しました。
ビジュアルですが、バレちゃいけないけど気づかれたさもある葛藤から、にとりのアンデンティティがところどころ残っているという設定です。服装はお祭りはっぴを羽織ってることにしてて、村人の服装に興味がなかったんで雑にそれっぽい服をチョイスしたという設定です。

印刷

初版は描き上がったのがイベント3日前だったので自家印刷でした。ページ数が多かったんで大変だったなぁ。
で、新装版の前にもう数部必要っぽかったのでまた自家印刷で出したのが第二版で、この時は本文用紙を藁半紙にしました。軽くてぱらぱらめくれて特殊紙っぽくてよかったんですがプリンタに合わなくて失敗したりかすれたりして大変でした。

そして新装版である第三版は印刷屋に刷ってもらいました。以前のブログで書いたとおり印刷屋を乗り換えまして、プリントウォークってとこにしました。その記事で書いたとおり印刷屋が近くて特殊紙や特殊印刷で遊べそうっていうチョイスです。ってことでいきなりオプションつけまくりました。

まずPP加工。前の印刷屋は地球環境に執着しすぎてて、行っても真っ暗だったりホチキス中綴じをお勧めしてきたりだったんですが、表紙PP加工もとても消極的でした。ちなみに消極的でも使えたのでは?と言われるとおっしゃる通りなんですが、質感重視の特殊紙を表紙に選ぶことが多かったのでPPを選べなかったって理由もありました。
こんどの印刷屋はその辺普通なのでPP加工全然OKだったのでやってみました。ツルツルテカテカしてていいですねー。色が綺麗に見えるし、印刷屋に刷ってもらったなーって思っちゃいますねぇ。
さらに今回のPP加工は模様付きのやつで、ホログラムっぽくキラキラ光るのです‼︎ だってにとりの変身願望を満たす漫画ですよ?変身っていったらキラキラでしょ(理由薄い)。
あと本文を黒でなく水色で印刷してもらいました! だってにとりだよ? 水色でしょ(理由薄い)。

…などとしたことで印刷費がかなり跳ね上がってしまいまいした。どっちのオプションも100部までは一律で、それ以上は上がり幅が詰まっていくんですが、認知度ほぼゼロの泡沫作家なのでそんな刷るわけなく、最初は30部のつもりだったんですが、一冊あたりの単価が900円とかになってしまいました。キリも数字も悪いので1000円にするとして、1000円じゃ買ってもらえないよなぁ、と。
みとから「1000円でも欲しがってくれる人はいる。買ってくれる人に買ってもらえればいいじゃないか」と言われたけど、過去に値段で売れないを経験したことがあるんで、そう割り切れず……。
てことで印刷部数増やしました。40部刷ったら700円で頒布できる価格になりました。

表紙

表紙は新装版で書き換えたので2種類あったりします。

スポイトで同じ色使って描いたはずなんだけどな。なんか色が違う。

新装版だからってこんな全然違う表紙にしなくても…
初版の表紙はトランプみたくしてみたところです。変身だしね。にとりが変身するんだぞっていうのを表紙で伝えたかったんです。タイトルと一緒で、表紙もあまり意味のない絵を描いちゃいけないって思ってそうしたんですが、改めて考えると中身を読まないとわからないオリキャラは意味のない絵だったなぁと。
ちなみに表紙に出しちゃったことで田丸みのの配色がここで決まったわけですが、最初はさとこい方式で補色を当ててピンクの帽子と茶髪で一回塗ったらびっくりするほど似合わなかったので髪と帽子の色を逆にしました。

話を戻しまして、新装版の表紙に必要な情報はにとりが出ることと変身することが第一。あと個人的に椛を表紙に描きたかったので同じぐらい登場する慧音もちょっと出すのが第二。さんしがなくてごにオリキャラって感じで配置しました。てことでニンニン。自分で言うとアレだけどいい表紙だよね。うむ。

あと題字は、初版の方は「人物に被ることを恐れないで題字を配置してみよう」と思って入れました。太めのゴシックは、考えて選んだというよりはどれがいいのかよくわかんなくなっちゃって無難なゴシックって感じのチョイスでした。思えばこの時点でだめな表紙だと思いながら作業してたんだろうなぁ。

新装版もいろいろ考えたんですが、テープで変身って雰囲気を取り込めないかなと思って、最終的に手書きで作ることにしました。
ピンとくるフォントが見つからず、「こういうのがほしいんだよなー」って書き出したイメージが悪くなかったので、手直ししながらそのまま題字になっちゃったって感じでした。
文字の配色はダイモテープの基本色にししました。黄色が薄すぎたんで少し色変えてますが。
下のアルファベットはCGですがダイモテープの印刷を再現してみてます。
ちなみに背景の長方形のつぶつぶもテープ編をイメージしてます。こっちはPhotoshopのランダム色ブラシで塗ったのでなにかに忠実な色というわけではないです。
あと裏表紙は本のあらすじをつけてみました。ジャンプの単行本の背表紙に付いてる数行のあらすじ文みたいなことがしたかったんです。できてたかな?

発注直後のいろいろ

本の中身的にはこんなもんなんですが、ここからがまた色々ありまして。
新装版完成直前まで気付いてなかったんですが、この本奇数ページだったんですね。そうだっけ?と思って初版を読み返すとあとがきと奥付が表3に入っていて確かに奇数だった。
1ページ余らすのもダサいなぁと思って本文に表紙を挟むことにして一旦解決。ちなみに寺子屋に転入する前に挟んでました。
その後、印刷屋に納品できるデータに出力してる時に初めてうちんちのプリンタサイズで原稿を作ってることに気づくという。このままだと左右にダサい余白がついてしまう。って事で全ページ修正。まぁ塗りたししてるページがあまりなかったんで被害は少なかったですが全ページ書き出ししなおしは面倒でした。

こんどこそ注文だー! と思ったら、注文時になにを勘違いしたか2ページ少なく注文しちゃって、それに気づかずお金まで払ってしまった。なにを勘違いしたのかというと表2と表3を数え忘れたっていうケアミスでした。しばらくイベント出なかったから忘れてたね。
締め切りまで数日あったんで言えばどうにかなったんでしょうけど、追加の支払いがーとかシステムの再登録がーとか…あるのか知らないけど、はじめて使う印刷屋でそういうことでばたばたするのも面倒だなーと思って2ページ減らすことに。
1ページは偶数化するために挟んだ表紙を削ればいいとして──また書き出し直しだったけどいいとして、あと1ページはどうする…。うーん
ってことで仕方なく本編の最後のページとあとがき・奥付ページを合体させてしまいました。本編の最後のページにはごちゃごちゃした情報入れたくなかったんだよなぁ。しかもあとがきスペースも減っちゃったので色々書いたのに削らないといない。

で、入稿はとりあえずできたんですが、仕事中に電話がかかってきて表紙の塗り足しが足りなくてリテイクが入ったり。一晩作業してこんどこそ完成、と。

などということがあって出来上がりました。漫画の内容に関係ない部分と見せかけて事務量が多かった&やり直しが多かったんでかなりしんどかったでした。すべて自分のせいなんだけどね。

たしかもう言いたいことはないはず!!

多分ね! っていうか2つ目もこんなにたくさん書いたらもうさすがにないだろ。…でもなんか思い出したら多分加筆します。

あとがきにも書いたとおり長編を描きたいと言い続けて10年以上経ってやっと描けました。ちなみに描きたいと当初言っていた作品はもちろんこれではなく、オチの付け方がわからなくなって放置されてます。最初数ページが鉛筆でもう書き上がってるんで仕上げたさもなくはないけど…優先順位低めかなぁ。
それとは別に今魔理沙中心の長編のプロットを作ってて多分30ページぐらいになると思います。これも多分2,3年かかると思うけど、世に出したいんでまたよろしくね!!

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